続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
涼介とは駅で待ち合わせて、そこから一緒に目的地まで行き、旬達と合流するということになっていた。
「加奈!」
待ち合わせ時間の一分前に涼介が現れた。
久しぶりの涼介に、加奈は少し緊張した。
いつもそうだ。
大学に入ってから、会える時間が少なくなって、実際に遠くに離れたわけではないのに、遠くの存在になってしまったように感じる。
いつも一ヶ月に一回ぐらいの頻度で会うのだが、一ヶ月も会えないと、変わっていたりする。
髪を切っていたり、違う色に染めていたり、見たことのないアクセサリーをつけていたり……
些細なことでも、違って見える。
そして、そのことを指摘すると『結構前に変えた』と言われることだってある。
そうされると、会えていなかった時間が本当に長かったのだと、その間の涼介は自分の知らない空間にいたのだと、思い知らされて、切なくなる。
「涼介、ちょっとやせた?」
今日気付いたことは『大分前に』と返ってくることはないと思い、加奈は口にする。
こうやって、言葉を選ぶのも、加奈の習慣になってしまっていた。
「そうか? 体重は量ってねえから知らんけど……でもまあ、最近バイトばっかだからなあ」
「そっかぁ。大変だね。あんまり無理しないようにね」
「何言ってんだよ。それは加奈もだろ?」
「え?」
「最近、実習ばっかなんだろ? 俺よりむしろ加奈の方が大変じゃないのか?」
労わるような、優しい言葉だった。
加奈は今、保育系の短大に通っていて、今年卒業の二年生だ。だから、実習や就職活動に追われている。
そのことは涼介にメールでチラリと伝えただけなのに、気にして貰えてた……単純にそれだけで加奈は嬉しくなった。