続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~

「って! ひっでー! 何でいきなり叩くんだよぉ」


「いきなりは旬でしょ! 何考えてんの、こんなところで!」


「スキンシップだし! 愛情表現だし!」


「だからこんなとこでしないでって言ってるの! 恥ずかしいでしょ!」


 きつく言い合っているようだけれど、奈津美と旬は楽しそうだ。

 仲がよくて、お互いが本当に好き同士だということは丸分かりで、加奈は羨ましく思った。


「旬。お前、そういうとこ変わんないなー」


「うん。全っ然変わってない」


 加奈も涼介も笑った。


 旬は、昔からそうだった。

 何に関しても真っ直ぐで、本能的だ。でも、それは周りの空気を和ませる。


 だから、今も友達として、好きだと言える。



「じゃ、とりあえず入るか」


「そうだなー」

 そう言って、一先ず園内へと向かった。




「おぉー! すっげー! でっけー! 色々あるー!」


「ホントー! テレビとか雑誌より迫力あるー!」

 久々の遊園地に、加奈は胸を躍らせていた。


 小さい頃からこういう場所が好きで、遊びに来ることが多かった。

 特に高い所が好きで、絶叫系のアトラクションなんてたまらない。

 近場にこういう場所ができたと知った時から、行きたくてしょうがなかった。


 涼介に、ゴールデンウィークにどこに行きたいかと聞かれて、即答したほどだ。今日になるのが、待ち遠しかったのだ。


 勿論、久々に涼介に会えるというのが大前提であったけれど。


< 64 / 382 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop