続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「なあ、どれから行く? ナツ、どれから乗りたい?」
「えーっと……何でもいいよ。皆に任せるから……」
「ねえ。涼介は? 涼介は何乗りたい?」
旬が奈津美に意見を聞いたので、加奈は涼介に意見を聞く。
「何に乗りたいって、どうせ順番とかもちゃんと決めてきてんだろ?」
涼介はそう言って笑った。
「うん! まあね!」
涼介には、お見通しだった。それが嬉しくて、つい元気よく頷いた。
「待ち時間とかあるからねー、ネットとかで調べて色々考えてきたんだ」
加奈はパンフレットを見て、調べてきたものを確認する。
「すっげーな、加奈。下調べまでしてきたのか」
「で、どれからがいいんだ?」
「んーとねー。あ、これ! 『コメット・トラックス』……ここからだとー……こっちだ!」
そうして、最初のアトラクションに向かった。
「やった! 一番前だ!」
丁度次に回ってきたのが四人からで、前にに並んでいた加奈と涼介が先頭にのることになる。
「運よかったねー」
「……ああ。そうだな」
加奈が笑顔で言っても、涼介はたったそれだけしか返してこなかった。
そういえば、涼介はさっきから急にそっけなくなって、話さなくなった。
どうしていきなり……
「ねえ、涼介。どうかした?」
流石におかしいと思って加奈は涼介に聞いた。
「えっ……何が?」
「何か……さっきから様子変だし……」
「ど……どこがだよ! 別に普通だし」
どもっているし、目が泳いでいて加奈とは目が合わない。
明らかにそれは普通じゃなかった。
「それではお気をつけて。いってらっしゃーい!」
「ほ……ほら、動くぞ」
係員の声に反応して、涼介が慌てた様子で言った。
加奈はどうも釈然としなかったが、アトラクションが始まると、それに意識を持っていかれて、その場ではもう気にしてなかった。