続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~

「なあ、どれから行く? ナツ、どれから乗りたい?」


「えーっと……何でもいいよ。皆に任せるから……」


「ねえ。涼介は? 涼介は何乗りたい?」

 旬が奈津美に意見を聞いたので、加奈は涼介に意見を聞く。


「何に乗りたいって、どうせ順番とかもちゃんと決めてきてんだろ?」

 涼介はそう言って笑った。


「うん! まあね!」

 涼介には、お見通しだった。それが嬉しくて、つい元気よく頷いた。


「待ち時間とかあるからねー、ネットとかで調べて色々考えてきたんだ」

 加奈はパンフレットを見て、調べてきたものを確認する。


「すっげーな、加奈。下調べまでしてきたのか」


「で、どれからがいいんだ?」


「んーとねー。あ、これ! 『コメット・トラックス』……ここからだとー……こっちだ!」


 そうして、最初のアトラクションに向かった。




「やった! 一番前だ!」


 丁度次に回ってきたのが四人からで、前にに並んでいた加奈と涼介が先頭にのることになる。


「運よかったねー」


「……ああ。そうだな」

 加奈が笑顔で言っても、涼介はたったそれだけしか返してこなかった。


 そういえば、涼介はさっきから急にそっけなくなって、話さなくなった。


 どうしていきなり……


「ねえ、涼介。どうかした?」

 流石におかしいと思って加奈は涼介に聞いた。


「えっ……何が?」


「何か……さっきから様子変だし……」


「ど……どこがだよ! 別に普通だし」

 どもっているし、目が泳いでいて加奈とは目が合わない。


 明らかにそれは普通じゃなかった。


「それではお気をつけて。いってらっしゃーい!」


「ほ……ほら、動くぞ」

 係員の声に反応して、涼介が慌てた様子で言った。


 加奈はどうも釈然としなかったが、アトラクションが始まると、それに意識を持っていかれて、その場ではもう気にしてなかった。


< 65 / 382 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop