続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「あー、面白かったー」
久々の刺激に、加奈は大満足だった。
「なー。ホントスッとしたし」
それに大きく頷くのは旬だ。
降りた直後も、今も、涼介の反応はない。
元々、涼介はこういうものではしゃぐような性格ではないけれど、流石にデートでそれは寂しかった。
「加奈。次は何に乗ったらいいんだ?」
「えっとねー。次は……あれ!」
旬に言われ、加奈は気を取り直して言った。
次に乗るはここのメインの一つのアトラクション。目立つところにあるそれを加奈は指さした。
「おおー! すっげー!!」
それを見るなり旬は予想通りの反応をする。
「じゃ、早速行くかぁ!」
旬がそう言って、次へと向かおうとした時。
「あ、あの……」
奈津美が口を開き、三人は奈津美に注目する。
「あたし……さっきので気分悪くなっちゃったから……みんなで行ってきて。あのベンチで待ってるから」
「え!? うわ! ナツ、ホントに顔色悪いじゃん! 大丈夫?」
「大丈夫ですか?」
旬の言う通り、奈津美の顔色が青白くなっていた。
「うん。ちょっと休んだら治まると思うから……だから皆心配しないで行って」
そう言って無理して笑顔を作っているのが見え見えで、そうすると更に辛そうだ。
「じゃあ俺も残る!」
奈津美を見て、旬がそう言い出す。
「いいよ。旬も行ってきて。あたしは大丈夫だから……」
「でも……」
「いいから。行ってきて。旬、楽しみにしてたんでしょ? ていうか、本当は行きたくてしょうがないんでしょ?」
「……それは……そうだけど……」
「旬」
ごねる旬を奈津美がじっと見つめる。
「……分かった。ナツ、何かあったらすぐに連絡してな?」
たったそれだけのことで、旬が引いた。
「うん。分かってる」
「……じゃ、奈津美さん。すみません、あたし達だけで……」
「ううん。あたしこそごめんね。みんな楽しんできてね」
奈津美はそう笑顔で言って、三人を送り出した。