続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「……大丈夫かなぁ……ナツ」
旬が何度も後ろを振り返りながら言った。
「やっぱ心配だな……でも、こういう時に気ぃ遣ったら嫌だろうしなぁ……」
旬はブツブツとそう言いながら悩んでいる。
旬は、本当に奈津美のことが心配だけれど、それでも奈津美の性格を理解しているから残らずに来たようだ。
奈津美は奈津美で、こういうところが好きな旬のために、旬には楽しんで欲しくて行けと言ったのだろう。
加奈はお互い分かり合えている二人のことが、またしても羨ましく思った。
「旬。じゃあ俺が奈津美さんについててやろうか」
今まで黙っていた涼介が急に口を開いた。
「え?」
反応したのは加奈の方だった。
「旬と加奈で回ってこいよ」
何でいきなりそんなことを言い出すのか、加奈には理解できなかった。
「それなら奈津美さんを一人にするわけじゃないし。いいだろ? 旬」
『何で?』
そう涼介に言いたいのに、口が動かなかった。
その代わりに必死に視線で涼介に訴えたけれど、涼介の方は旬をだけを見て加奈の方に向こうとしない。
でも、いくら旬でも何も言わないでそれでいいっていうはずないし……
「……わかった」
少し間を空けて旬が言った。
「え……?」
これには流石に驚いて声に出てしまった。
「涼介が言うんだったら任せる」
旬はあっさりと涼介の言ったことに同意してしまった。
「おう。任せろよ。それじゃ後でな」
涼介はそれだけ言って、そそくさと今来た道を戻っていってしまった。
「涼介……」
加奈は、ただ唖然としていた。