続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
 順番待ちの行列に並んでる間、加奈は悶々と考えていた。


 どうして涼介は、いきなりああ言って戻るなんて言ったのか……


 優しさというか、気遣いだったのか……


 でも、奈津美とは今日始めて会ったのに……そこまでしようと思うのだろうか。

 まして旬の彼女で、旬も残りたくても残れなかったのに……


 大体、旬は旬でどうしてあんなにあっさりと涼介に任せたのか……



「ねぇ、旬。涼介さ……何でいきなり奈津美さんについてるなんて言ったのかな……」

 加奈は隣にいる旬に話しかけた。


「え?」

 旬はきょとんとしていた。


「だって……こういう言い方しちゃったら失礼だけど、奈津美さんとは初対面だし、あんまり話してなかったのに……涼介がそこまですることないじゃない」


 そこまで言って、加奈の頭に嫌な思考が働いてしまった。


「もしかして、涼介、奈津美さんに一目ぼれとかしちゃったのかな?」


「……へ?」

 目を点にしている。


「だって、ありえない話じゃないよ。奈津美さん、美人だし、スタイルいいし……あたしがもし男だったらいいなぁって思っちゃうよ」


「マジでー? それほどでもあるけどー」

 何故か旬がデレデレとしながら頭を掻く。どうやら、加奈の言ったことを褒め言葉として受け取ったらしい。


「そうなんだよなー。でも、ナツは美人なだけじゃなくて、可愛いとこもあるし、優しいし、何でもできるし、いい匂いだし、抱き締めたらホント柔らかくて気持ちいいし、男だったらたまんないだろうなー。あ、でもそんな奴、目の前にいたら許さねえけど。何てったって俺がそんなナツの彼氏なんだし」


 一気に自慢され、加奈は言葉を失う。

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