続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「な……旬!?」
旬の行動に、奈津美は驚くしかできなかった。
「ナツーーー!!!」
「……!?」
旬が突然叫んだと思ったら、奈津美の胸に顔を突っ込むようにして抱き付き、そのまま押し倒した。
「いたっ……ちょっと旬!? 何を……」
奈津美は倒れた時に打った背中に痛みを感じながら、重みのある上半身を起こそうとした。
「ナツー!」
旬はそんなことはおかまいなしに、奈津美の胸にグリグリと顔を押し付ける。
「や……旬!」
「死ぬ前に一回でいいからナツとHしないと……」
旬は顔を離したと思ったら、真剣そのものの顔でそう言い、奈津美の服を脱がしにかかる。
「旬!」
次の瞬間、『バシンッ!』と乾いた音が部屋中に響いた。
「もう! 一体何考えてるのよ!」
ベッドに横になった旬に対し、奈津美は怒り心頭だ。
奈津美に平手を食らった旬は、すぐにぐったりとした状態に戻った。
とりあえず、奈津美は重たい旬を支えながらベッドに寝かせたのだ。
「そんな状態の時くらい大人しくできないの?」
奈津美こそ、こんな状態の時くらいこういう風に言いたくないのだが、旬の行動に、何も言わずにはいられない。
「……ナツ」
旬は苦しそうにしながら細く目を開けた。
「だって……俺、もうすぐ死ぬから」
「は?」
意味不明の発言に、奈津美は眉間に皺を寄せた。
そう言えば、メールでもそんなことを書いてあった気がする。
「朝……起きたら体がすっげー重いし、鼻で息できないし、喉も痛いし、関節も痛くて動けねーし……これはもう死ぬ直前なんだって直感して……」
奈津美は言葉を失った。
旬の言っていることは、丸っきり風邪の症状だ。それを死ぬ直前だと思うなんて……
風邪をひいたことがないと分からないものなのだろうか。