続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「もしもし? 加奈?」
涼介はすぐに出た。
「涼介ぇー……」
加奈は、旬に振られてから初めて、人前で泣いた。
正確には電話越しではあるけれど、でも、涼介に初めて弱い部分を見せた。
それから暫く、加奈は泣くだけで何も言えなかった。涼介は、ただ黙って加奈の言葉をじっと待っていた。
「りょ……涼介っ……」
「ん?」
「旬は……あたしのこと、友達だとは思ってるけど……付き合えないって……」
「うん」
「それって、あたしのことは、女として、見てなかったってことだよね……あたしは今までもこれからも、旬にそういう対象に見られることはないってことだよね……」
旬に振られて、そういうことだと気付いた。
今までは友達だと思われていてもよかった。
でも、告白して、ほんの少しでも旬に振り向いてもらえればと思った。
だけど、そうはいかなかった。
はっきり『ごめん』と断られたということは、旬には加奈が女として見られて、旬の彼女になることはないのだと、そう言われたことと同じだった。
「でも……自分勝手だけど……振られたなら振られたでいいから、友達として、旬と付き合っていきたいの……そう思ってるのに……旬の顔見ると……辛いの……」
自分でも、言ってることがめちゃくちゃで、ただのわがままだということは分かっていた。
でも、こうして口に出さないと、辛かった。
多分、電話の向こうで涼介は呆れているだろう。そう思いながら、加奈は、自分の心の内を涼介にぶちまけていった。
そうして、もう散々喋ったという時だった。
「加奈……俺じゃダメか?」
涼介が静かに言った。