続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「なあ、そろそろ出ないか?」
時間が随分経った頃、旬が言った。
「そうだな」
涼介が頷き、一同は外に出た。
「今からさ、観覧車いかね?」
外に出るなり、旬が提案する。
「え……?」
奈津美は何か驚いた様子だ。
「あれだけ乗ってなかったし」
言われてみて、加奈はそう言えば、と思った。
今日は、折角こういう場所に来たのに、涼介と楽しんだのはさっきのゲームセンターだけだ。
最後に一つだけでも、涼介と一緒に楽しみたい。
「うん。行こっか」
加奈はそれだけを思って頷いた。
「じゃ、分かれて乗ろう。俺とナツで乗るから、そっち、涼介と加奈な」
「え!?」
旬の言ったことに、涼介が大声を出した。
理由が分からず、加奈は驚いた。
「じゃーな。また後で」
旬は涼介の反応を気にすることなく、さっさと奈津美の手を引いて行ってしまった。
「しゅ……旬」
涼介が何か言いたそうに旬の背中に声をかけたが、もう旬は遠くに行ってしまっていた。
「何? どうしたの?」
加奈が不思議に思って涼介に尋ねた。
「えっ……いや、その……行くんならそこまで一緒に行けばいいのになって思って……」
涼介は明らかに何かを誤魔化す様子だった。
「……別にいいんじゃない? いくら旬でも子供じゃないんだし。それよりあたし達も行こうよ」
「えっ!?」
「何? どうしたの?」
「なっ……何でもない! マジで何でもない!」
「……本当に?」
加奈は疑いの目で涼介を見る。
今日何度目かのこの挙動不審。何でもないと言われる方が怪しい。
「本当だって! だからほら! 行くぞ!」
涼介は半ばムキになった様子で加奈の手を掴み、観覧車へと歩きだした。
この行動に、加奈は驚いた。
今日初めて、久しぶりに、涼介と手を繋いだ。
旬達がいなくなったからだろうか……それは分からなかったけれど、そんなことは関係ないぐらいに、加奈は嬉しかった。