続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~


 しかし、その嬉しさは観覧車の中で半減してしまった。


 観覧車で向かい合って座り、二人を包むのは沈黙だった。


 涼介は、乗るなり前傾姿勢で両肘を両膝についた体勢でずっと下を向き、黙り込んでいる。

 加奈はずっとそんな涼介を見ていた。


「……ねえ、涼介」

 痺れを切らし、加奈が話しかける。

 しかし、何の反応もない。


「涼介………涼介ってば」


 また反応がない。


 何? シカト?

 いくらなんでもあんまりな態度に、加奈はイライラする。


「りょうす……」


 加奈が再度声をかけようとした瞬間、僅かな風でゴンドラが揺れた。


「うわあぁーー!!」

 突然涼介が叫び体が動き、意味もなく窓枠にしがみついた。


 加奈は驚いて、口をポカンと開けている。


「りょ……涼介?」


 涼介の表情は、真っ青で額には冷や汗が浮かんでいる。

 加奈と目が合うと、やっちまった、という表情が浮かんだ。


「……もしかして……涼介、怖いの? ……高所恐怖症?」


 今更になって気付く。

 もしそうだったなら、色々と辻褄が合うことも。


「だから、奈津美さんに付いてるって言って、ジェットコースターに乗らなかったの?」


 思えば、最初に乗った『コメット・トラックス』の時、乗る前も乗った後も、涼介は一気に口数が少なくなった。

 それも、涼介が高所恐怖症だったから。そうに違いない。


 涼介は、暫く視線を泳がせた後、観念したように下を向いた。


「ああ……そうだよ……それに、今日、旬達も一緒に来たのは……俺が頼んだから……なんだ。旬に言われたとか、全部、嘘で……」


 加奈は唖然とした。

 そんな理由でWデートになったんだなんて……


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