続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~

 加奈は、そんな涼介のことを見下ろし、口を開いた。


「本当だよ。かっこ悪い。あたしにそんなこと隠してるからだよ」

 わざと冷たい口調にした。

 そうすると、涼介は更に下を向く。


「……でも、かっこ悪いけど……あたしはそういうところだって好きだよ」

 加奈もしゃがみこみ、涼介の頭を抱えこむようにして抱き締めた。


「か……加奈?」


「下に着くまでこうしてるから。これなら、ちょっとはマシでしょ?」

 ほんの少し大胆だけれど、これが加奈にできる精一杯だった。


「……あー……マジでかっこわる」

 涼介はそう言いながら加奈の胸元に顔を埋め、腕を背中に回した。


 顔を埋めた、と言っても、加奈の胸は浅すぎて、胸板に顔を押し当ててるという方が近い状態だ。


「ごめんね。奈津美さんみたいに胸おっきくなくて」

 何かを思われる前に加奈は言った。


 すると、涼介はきょとんとして顔だけで加奈を見上げた。


「……何でいきなり奈津美さんが出てくるんだよ?」

 意味が分からない、という顔だった。

 ……何だ。勘違いだったんだ……

 涼介からは、奈津美のことを意識していたなんて、微塵も感じられなかった。

 勝手に思い違いをしていたことが恥ずかしい。


「……何でもないよ」

 加奈は、そう言って、涼介を抱き締める腕に力を込めた。


 地上に降りるまで、ずっとそうしていた。


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