続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「旬達……どのへんにいるんだろうね」
観覧車を降りたあと、加奈と涼介は歩きながら旬と奈津美を探す。
「……まさか先に帰ったとかはないだろうな」
「それは多分ないでしょ。もしそうなら連絡するだろうし」
「確かにそうか」
「うん」
話しながら、加奈の神経は左手に集中していた。
涼介の左手と繋がった右手……
観覧車から降りる時に、涼介が怖がらないように(というと涼介は怒るだろうけど)加奈から繋いだ手が、降りてからも、離れなかった。
「……旬と奈津美さんに謝らないと……あと、お礼も」
「ああ……」
加奈は、特に奈津美には、謝らないといけない。
ただ涼介とのことに巻き込んだだけなのに、嫌な態度を取ってしまったことを……
「あ」
旬と奈津美を見つけた。
加奈は二人に向かって手を振った。
「よー、涼介。楽しかったか?」
涼介の顔を見るなり、旬が笑顔で言った。
「旬……」
そんな旬に対し、涼介が恨みがましく旬を見る。
「いいじゃん。結果オーライだろ?」
旬はまるで全てを見透かしているように言った。
涼介と加奈が同時にお互いを見た。観覧車の中でのことを思い出すと、顔が赤くなる。
「まあ……」
涼介は小さく答えた。
「……涼介。自分が悪いんでしょ? 本当のこと、言ってくれなかったんだから」
少しからかうつもりで、加奈は涼介に言った。
「……悪かったな」
涼介はぶっきらぼうに返した。
今までに見たことのない涼介を見て加奈は笑った。