続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「旬の合鍵、作っといた方がいいかもね」
奈津美はそう言いながら、バックから鍵を出し、部屋のドアの鍵穴に入れる。
奈津美は、旬の部屋の合鍵を持っている。旬が一人暮らしを始めた時に旬の部屋の合鍵を渡されたのだ。
しかし、旬は奈津美の部屋の鍵は持ってない。奈津美の部屋の鍵の予備は、実家の両親に預けているのだ。
「え? 本当?」
旬は嬉しそうだ。
「だって、旬、多いんだもん。こういうこと。近所の人にだって迷惑かもしれないし」
ドアを開けて中に入りながら奈津美は言った。
「それは大丈夫だよ。顔見知りになってるから。最近は挨拶もしてるし」
旬も奈津美のあとに続いて入り、そう返す。
「え……何それ。初めて聞いたわよ」
靴を脱ごうとしたまま、奈津美は目を丸くして旬を見た。
「だって初めて言ったし」
「……じゃあ合鍵は別にいらないわよね。大丈夫そうだし」
奈津美は靴を脱ぎ、部屋の中に入る。
「え! いる! 絶対いる!」
旬は慌てて奈津美を追いかけるように靴を脱いで部屋に入る。
「ナーツー」
旬が甘えた声を出して、奈津美を後ろから抱き締める。
「もう……分かったから。じゃあ、作っとくからね」
「やった! ありがと、ナツ」
そう言って、旬は軽く音を立てて奈津美の頬に口付けた。
慣れたといえば慣れたけれど、未だにその感覚には胸をくすぐられる。