続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「ホントだ。……あ、こっちも」
奈津美もクッキーを一枚取り出して旬に見せる。
こっちには、ハート型に二人の名前がかいてある。
「へー。今ってこういうのがあるんだなー」
「なんかいいね。こういうの」
奈津美は感心しながら口元にクッキーをもっていく。
「そうだなー。俺らの時もこういうのにしよっか」
旬はさらりと言い、そのままマドレーヌを頬張る。
「え……」
奈津美は、クッキーを口に入れようとしたところで固まった。
「あ、美味い。これ」
旬は、そうやって何事もなかったかのようにマドレーヌに対しての感想を言う。
「旬? 今何て言ったの?」
奈津美は聞き間違いだったのかと確認する。
「え? これ美味いって。あ、ナツも食う?」
きょとんとした顔で言い、食べかけのマドレーヌを奈津美に差し出す。
「そうじゃなくて。その前」
「……ああ、俺らの結婚式でも引き出物、こういうのがいいかなーって思って。ナツは嫌?」
「嫌って……そういうんじゃなくて……何でいきなり……」
「あ、そっか。その前にどこで式挙げるかだよな。そう言えば前にテレビで見たんだけどさ、最近沖縄で式挙げる人が多いんだって。招待客にも観光がてら楽しんでもらうって感じで。そういうのもいいよなー」
まるで雑談でもしているかのように、いつものように旬は楽しそうに話す。
そういう意味じゃなくて。
言いたいことが、心の中だけであふれ出す。
何でいきなりそんな話なの?
当たり前のように言ってるけど、何、もう旬と結婚することは決定なの?
あたし、プロポーズすらされた覚えはないんだけど……