返シテクダサイ《都市伝説》
終わりを迎えることはなく
羽山の家に辿り着いた俺たちは晴彦がとったビデオの鑑賞会を行う事になった。
暗い学校の前でまずレポートが入り、羽山へのインタビュー、そこに俺が入ってくるという、撮影した時と何一つ変わらない映像を第三者視点で眺めることは少し気恥ずかしい物があった。
わいわいと騒ぎながら一旦道中で切れ、続いて場所が変わって隣町の駅にガラリと変わる。
またリポーターが入り、辺りの殺伐とした情景を報告している。
そこからはずっとカメラは切られることなく回り続ける。
道中に交わされた会話が、全て記録され、スピーカーから声が、テレビ画面から表情がそれぞれ流れ出ている。
時折自分たちの会話に突っ込んだり、羽山の行動にブーイングをしたりして、俺たちは明るい部屋の中、鑑賞会を楽しんでいた。
暗い道なりを過ぎて見えたのは先ほど行ってきたばかりの、埃の匂いさえまだ鼻の奥にこびりついて残っている病院だ。
「画像で見ても気味悪いね」
そういって晴彦がジュースを飲む。
スピーカーから流れる声は記憶にはないが、話していたのだろう他愛ない雑談。
羽山が先陣を切り、その後に晴彦が続く。
その所為で画像は羽山の背中のみになっていく。実際はその後ろに俺が付いていた。
裏口へと辿り着く、その少し手前、羽山の隣を白い何かがふわっと通り過ぎるのが見えて、俺たちは厭な沈黙を落とす。
「…今の、なんだ…?」
「何か通ったよね…」
晴彦が巻き戻しを押して、スロー再生をする。
白い影が出てきたところでストップ。
それは、白い靄にも見えるし、幽霊にも見えた。白衣を着た看護士にも。
「こんなの居なかったよね…」
俺と羽山は同時に首を縦に振る。