返シテクダサイ《都市伝説》
『あの四階気になるなぁ…』
【入院希望ですか?】
『でもよ、結局一周したけど何もなかったよな』
『そうだな』
【そうでもないですよ】
『あ、そういえば野々村さんとの約束はどうするの?』
画面では間抜けな顔で羽山が声をあげ、辺りを物色する。
あの受付の場所で、羽山がカルテを片手に掲げる。
『よし、これにしよう』
『カルテかぁ…』
『もういくぞ』
『お邪魔しましたー!』
【ちょっと待て】
突然、女の声が恐ろしいほど低く変わった。
刹那。
プルルルルル…
プルルルルル…
羽山の家の電話がシンと静まり返っていた室内に響き、俺たちは三人同時にビクッと身体を震わせた。
厭なタイミングで鳴る、その電話に眉を寄せながら、羽山は恐る恐る手ぶらモードボタンを押して、電話に出る。