俺の大切なひと。
俺は、鬼だ。それも父親が鬼神。俺はその鬼神の名を受け継ぐことになっている。だが、俺は……悪さができない、したくないのだ。
鬼なら悪さをしていくことを生業にしている。人からどんな手を使っても金銭類や宝物を手に入れる。時には、人間を襲い……最悪、殺してしまうのだ。
俺には、そんなことできない。だから一族から『意気地なし』『それでも鬼神様の後継者か』『臆病者』と幼い頃から言われているのだ。
きっと、父さんは俺を見ている。どこで誰と会っているかは知っているはず。
だから、碧が好きだとは言えない。