Secret love 【改訂版】
会社から一〇分ほどの自宅のマンションへと帰ると、黒のパンツにシャツを着て、白の薄手のシャツを手にすると家を出た。
飲みに行くときは副社長とか、肩書とかそういったものが解らないようにしている。それを知って近づいてくる人間にはうんざりだ。
弘樹とのいつもの待ち合わせの場所である、歩いてすぐのBARの扉を開けた。
店内は、外の外装のイメージよりかなり広く、スポーツ観戦や、ダーツ、ビリヤードなどもでき、週末の店内は人ごみに溢れていた。
そんな中、弘樹を探すことは困難で、俺は周りを見渡した。
「誠さん」
不意に顔なじみの店員に呼ばれ、俺はそっちを見た。
「弘樹見てない?」
俺の言葉に、まだ二十歳を過ぎたばかりであろう、その彼は笑顔で指をさす。
「向こうのカウンターにいますよ」
「ありがとう。よく入ってるな」
俺は礼をいうと奥へと向かう。少し歩くと弘樹の姿が見え、俺は少し歩調を速めた。