Secret love 【改訂版】
「香織?」
その時、不意に聞こえた声に俺達は振り返った。
そこには声を掛けていた子とはタイプが違うが、遠目から見てもとても綺麗な子だった。
スタイルも良く歩くたびに、ふわりと背中でダークブラウンの長い髪が揺れる。
「友達、ってわけじゃないよね」
そう言いながら、その子も警戒するように俺たちの方へと歩いてくる。
「莉乃。おかえり」
香織と呼ばれたその子は少し苦笑すると、莉乃と呼んだ子をみた。
「君が友達? 今一緒に飲まないかって彼女を誘ったんだけど」
今度は俺がにこやかに笑いかけたところで、莉乃と呼ばれたその子は目を見開いた。
ダークブランの吸い込まれそうな瞳と視線が交わり、俺も訳の分からないままその瞳から目が離せずにいた。
「副社長……」