Secret love 【改訂版】
「あの、すみません……だから離して」
しどろもどろに言った私に、副社長はさらに言葉を重ねる。
「会社のお前は……あっ、やばい」
「え?」
その言葉の意味がわからず私は声を発した。
「眠たい……」
「ちょっと! 副社……」
「誠」
副社長と呼びそうになった私を制止すると、副社長改め誠は私の手を取った。
「弘樹、俺達帰るわ」
「え?!」
その言葉に驚いて私は声を上げたが、誠は有無を言わさず私の手を引いて店を出た。
「ねえ、お金も払ってないし、それに……」
「そんなの弘樹に出させとけ。二人きりにしてやったんだし」
「え? わざと?」
そのために店を出たのかと、私は誠をジッと睨みつけたが、そこにはかなりトロンとした瞳があった。