Secret love 【改訂版】
私は小さくため息を付き、副社長室と繋がる隣の部屋の自分のデスクへと戻るとパソコンを開いた。
そして資料に視線を送るも、さっきの副社長の笑顔が頭に浮かんだ。
本当になんなの? あの人。
女なら誰でも自分に気があるとでも思っているのだろうか?
私はああいう自信のある男の人がとても苦手だ。これぐらいの距離感でちょうどいい。
大きく伸びるように私は手を伸ばした後、仕事に取り掛かった。
副社長から頼まれていた仕事を終えると、今度はたくさんの部署からあがってくる資料を振り分ける。
あれ?
しかし、その中の常務から上がってきた新規事業案の経理報告書を確認していると何かがおかしい気がした。
計算してみると、やはり合わない気がする。うまく調整をしているようにみえるが、どこか何かおかしい。かなり膨大な数字ですぐには判断できなさそうな資料に、私はもう一度やり直そうとページをめくったところで扉が開いた。