Secret love 【改訂版】

今日も特に何も変わることなく定時を過ぎ、私は挨拶をするために副社長のところへと向かった。
そこにはさっきと全く変わらない姿勢でパソコンに向かう副社長がいて、さすがに大丈夫かと心配になる。

「失礼いたします。あと何かありますか?」
私の言葉を認識するのに、少し時間を要したのか、数秒後に副社長は顔を上げた。

「ああ、大丈夫。もう上がって」
そう言いながらあの笑顔を私に向ける。しかしその横には大量の資料が置かれていた。

終わるの? それ……。

そんなことが頭をよぎるが、私も遅くなるわけにはいかない。

「では失礼します」
申し訳ない気持ちを隠すように、私は頭を下げると副社長室を後にした。
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