僕だけにナデナデさせて アミュ恋 3曲目
「みゅうみゅう。
このベンチに座って」
「……うん」
「ちょっと電話をかけてくるから。
逃げないでね。絶対に」
そう言い残して
拝殿の前に駆けて行った春輝くんから
視線を外し、
私はベンチの端に座った。
そしてしばらくして
スマホをズボンのポケットにしまいながら
春輝くんが戻ってきた。
「みゅうみゅう、お待たせ」
穏やかな声と共に
ベンチの隅に座った春輝くん。
ベンチの端と端。
二人の間にあるこの空間が縮まることは
一生ないんだろうなぁ。
そう思った時。
私の心に刺さった
氷のツララを溶かすように
春輝くんが陽だまりのような
温かい笑顔を私に向けた。