僕だけにナデナデさせて アミュ恋 3曲目

 嗚咽を繰り返しながら
 必死に苦しみを吐き出すしーちゃん。


 見ている私でさえ
 胸が引きちぎられるように痛む。



 私は呼吸をなんとか落ち着かせて、
 穏やかな声をしーちゃんに向けた。



「しーちゃんは、
 慶介くんと、よりを戻したいの?」



 しーちゃんの
 言葉にならない必死の頷きが、
 慶介くんへの想いの深さを
 物語っている。



「でも……
 慶ちゃんの理想の彼女を演じるのは……
 もうムリ……」



「……苦しいの?」



「慶ちゃんの怒りのスイッチを
 押さないようにって……
 毎日ビクビクするの……
 もう、限界なの……」



 しーちゃんも本当は、
 慶介くんに怒鳴られるのが
 怖かったんだ。

 でも、慶介くんに嫌われたくなくて
 我慢してたんだ。
 


「ねえ、美羽ちゃん。
 そのままの私なんて、
 慶ちゃんに好きになってもらえないよね?」



 捨てられたワンちゃんのような
 痛々しい瞳が、
 ゆるるんと揺れている。



 しーちゃんの、心の痛み。
 私が取りのぞいてあげたいな。


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