僕だけにナデナデさせて アミュ恋 3曲目
 ◇

 しーちゃんとバイバイして、
 廊下をパタパタ走る私。


 嬉しい気持ちを
 波多野くんに聞いて欲しくて。
 心からお礼を言いたくて。

 私なりの全速力で走る。



「前園、廊下を走るな!」


 後ろから聞こえた先生の声も
 完全無視。


 
 渡り廊下も通り過ぎ、
 社会科教室のドアを開けた。



 私が勢いよく開けたドアの音で、
 スマホから視線を逸らした波多野くんと
 目が合った。



 跳ねるように
 波多野くんに近いた私は、
 自分を見失うくらい、興奮しっぱなし。



 なんの迷いもなく
 波多野くんの両手を掴んで、
 ぶんぶんと上下に振っている。



「波多野くん!  
 聞いて! 聞いて!」



「中野と、仲直りしたのかよ?」



「うん! 
 しーちゃんが許してくれたの!」
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