僕だけにナデナデさせて アミュ恋 3曲目

 その時。

 小さく開いた彼の唇が
 たどたどしい言葉を発した。
 


「もしかして……魔法使いさん?」


 ま……魔法使い?


「僕のお願い……
 叶えに来てくれたの?」



 置き去りにされた子犬みたいに、
 切なそうに瞳を揺らすその男の子に。

 どんな言葉を返していいかわからない。



「え……と……」


「それとも、ウサギの国から来たの?」


 ウサギ??
 私のどこら辺が、ウサギなの??



 クラスで一番、背が小さいから?


 恥ずかしいと
 すぐにほっぺが赤くなっちゃうから?

 

「私は……あの……」


「どっちでもいいよ」


「え?」


「魔法使いでも、ウサギでも」


「……」


「どっちでもいいから……
 僕のお願い、叶えてくれない?」


「お願いって?」


「忘れさせて。
 僕の大好きな人のこと」
< 24 / 375 >

この作品をシェア

pagetop