僕だけにナデナデさせて アミュ恋 3曲目
何、楽な方に
逃げようとしてたんだろう。私。
こんなに、心の中が
春輝くんで占領されているのに。
春輝くんを忘れるために
波多野くんと付き合うなんて、
失礼にも程がある。
「美羽、これやる」
波多野くんがさわやかな笑顔と共に
私の手の上に乗せてきたもの。
ん?
バームクーヘン?
「弁当、食べれなかっただろ?」
「あ……ありがとう……」
「教室、戻るぞ」
白い歯を光らせ、
大きな手のひらで
私の頭をポンポンとした波多野くん。
お兄ちゃんみたいな温かい笑顔が
私に向いていて。
なぜか、ドロドロとした罪悪感に
心の中が支配され始めていた。