僕だけにナデナデさせて アミュ恋 3曲目

 泣きはらした赤い目のまま
 とびきりの笑顔を向けてくれた彼に
 私の心臓が反応しないはずもなく。


 キュンキュンと
 ウサギのように跳ねている。



 忙しく動く心臓が……
 く……苦しい。



 立っていられなくて
 私はベンチの隅に
 崩れこむように座った。



「ウサギちゃんの隣、いい?」



 だからその笑顔。
 危険なんだって。


 私の心臓が飛び跳ねすぎて、
 心停止しちゃうって。


 
 私がなんとか頷くと
 彼はすぐ隣に座ってきて。

 彼の綿菓子みたいにフワフワの髪が
 私の頬をサラッと撫でた。



 ち……近い! 近い!!

 顔、近すぎだから!!



 ちょっとでも私が顔を上げたら
 キスしちゃいそうなほど近い。


 
 彼の甘い香りが鼻から入ってきて
 私の体が一気に火照っていく。



 ん? 何? 何?



 ふわりと背中にぬくもりを感じて。
 何が起きたのか、脳が感知できなくて。


 恐る恐る見上げると
 子供みたいなあどけない笑顔が
 私に向かって咲いていた。
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