僕だけにナデナデさせて アミュ恋 3曲目
――帰ろう。
自分に言い聞かせるように
心の中でつぶやいた時
走ってきた女の子に
いきなり手首をつかまれた。
「来て」
ちょっと……
な……なに?
「時間がないから。お願い」
私の耳が
ウサギのように、ぴょこんと反応した。
この声……
「春輝……くん?」
私の声に反応して
しーっと人差し指を、鼻の前に立てた春輝くん。
真ん丸な黒目が隠れちゃうほど
満面の笑みを浮かべた春輝くんに、
私の心臓が、ドキドキしないはずがない。
春輝くんに握られている手首だって、
脈が飛び出しそうなほど
激しく駆けている。