僕だけにナデナデさせて アミュ恋 3曲目
ステージの上では
ヒーローの3人がはけて、
女怪人が、入れ替わるように登場した。
ステージまで距離がありすぎて
表情までは見えないけれど。
マイクを通した女怪人の声が
不気味すぎて、
ヒーローショーの世界に
引きずりこまれていく。
「アミュレンジャーを
おびき寄せるための人質、
誰にしようかしら~?」
女怪人はそう言いながら、
お客さんを物色するように
客席を歩き回っている。
そしてなぜか、
私の前でピタリと止まった。
「この子に決~めた」
え?
私が……人質??
なに? なに?
今から何が起こるの?
聞きたいのに。
私を睨み殺しそうなほど
鋭く光る視線に縛られ、
恐怖で背中に冷汗が伝ってく。
声なんて
出てきてくれない。