僕だけにナデナデさせて アミュ恋 3曲目

 柔らかく目じりが下がった
 春輝くんの笑顔。



 穏やかで。優し気で。

 マー君が大事な存在だって
 その顔が訴えている。


 
 春輝くんの落ち着いた表情も。
 好きだなぁ。私。



 瞳が春輝くんを堪能していると
 脳があることを思い出してくれた。


 
「そういえば、忘れないうちに」


 私はななめ掛けバックを
 ガサゴソとあさり、
 さっき印刷したばかりの紙の束を
 春輝くんに手渡す。



「これって
 ヒーローショーの台本?」


「うん」


「みゅうみゅう、もう書いてくれたの?
 読んでいい?」


「いいよ」



 二人でベンチに座ると
 春輝くんは台本に目を落とした。



 真剣な表情の春輝くんに
 またドキリと心臓がうずく。



 ダメダメ。
 春輝くんを見ちゃダメ。



 どんどん私の体が火照っていって。

 茹でダコ宇宙人と間違われるくらいに
 全身が真っ赤になっちゃうから。
< 44 / 375 >

この作品をシェア

pagetop