僕だけにナデナデさせて アミュ恋 3曲目

「みゅうみゅうの頭
 ナデナデすると気持ちいい」



 気持ちいいのは、私の方だよ。



 春輝くんの声も
 オルゴールみたいに優しくて。


 ナデナデしてくれる手のひらも
 陽だまりみたいに温かいから。


 
「このまま連れ帰りたい。
 僕のお部屋に」


「え??」


「僕のペットになってくれれば
 ずっとナデナデできるのに」



 私が、春輝くんのペット?



 そんなこと言われたら
 体がくねっちゃうくらい
 くすぐったいよ。


 
 でも……嬉しい……


 家でも
 私と一緒にいたいってことだよね?



 その時。


 オルゴールのような
 うっとりする春輝くんの声が。

 幸せ気分に浸っていた私の心を
 一瞬で泥水の中に引きずり込んだ。



「みゅうみゅうの頭をナデナデしていると
 忘れられるんだぁ。
 明梨んのこと」



   『あかりん』


 
 いきなり飛び出した女の子の名前が
 一瞬で頭の中に貼り付いて
 離れてくれない。
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