あなたの残したタカラモノ〜一粒の雫〜
ミニスカートを鏡を見ながら整えているサユリが振り向き、俺に言った。
「…別に……、理由なんかねぇよ」
「ふーん。ゴム付けない方がよくない?──蓮にとってのポリシーなんだ?」
「ま、そんなトコ……」
やがて時間はPM7時をまわり、サユリと別れてからコンビニに寄り、いつも通りに弁当を買う。
「ありがとうございました〜!」
別に、金に困っている訳でもない。───何処にいるのかも分からないクソ親父から、何故か俺の口座に毎月30万円もの大金が入金されているからだ。
一体何処で、何をしているのか?
俺を捨てた事に対する罪悪感からの謝罪のつもりなのだろうか?
まあ…許す気なんか更々ねぇけど…。
弁当の入ったコンビニ袋をぶら下げながら家へと、眩しいくらいの街の中を歩く。
「…ねぇねぇっ」