加藤君に話がある高城さん
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「今日の日直⋯⋯ 高城雪香さんですね。教材を運ぶのお願いします」
授業後に、担任の先生に呼び止められた。
大きなダンボールに入った教材を用具室に運ぶよう言われる。
持ち上げてみたら結構重い。しかも箱が大きいので前が見えにくい。
何とか歩いていたら、
「あーあ、なに1人で運んでんだ」
と怒ったような声がした。
言い終わるより早く、私の持っていたダンボールをすっと横から取り、先に歩き出す。
加藤くんだった。
私がよろよろと持っていたダンボールを、長い腕で軽々運ぶ。
私は手ぶらで、加藤くんの後ろを歩く。
加藤くんがプッと吹き出した。
「前見えてなかっただろ?」
少し振り返って、肩越しに私をチラッと見下ろして、
「ダンボールとどっちが大きいか分かんないぐらいだな。」
と笑った。
「無理せず言えよ。俺が手伝ってやるから」
「ありがとう」
じわじわ、嬉しい気持ちが心にひろがる。
体温が急に上がったみたいに熱くなる。
私は彼の後ろから話しかけた。さっきの授業のことや先生の話、明日の予定、ひたすら話をする。
彼は黙って聞いていて、たまにふっと笑う。
加藤くんの背の高い後ろ姿、持ってくれた荷物、少しキツい口調で無愛想な表情なのに、いつも誰よりも早く気づいて優しく助けてくれる。
いつ頃からだろうか。こんな風に加藤くんが私を気遣ってくれるようになったのは。
「今日の日直⋯⋯ 高城雪香さんですね。教材を運ぶのお願いします」
授業後に、担任の先生に呼び止められた。
大きなダンボールに入った教材を用具室に運ぶよう言われる。
持ち上げてみたら結構重い。しかも箱が大きいので前が見えにくい。
何とか歩いていたら、
「あーあ、なに1人で運んでんだ」
と怒ったような声がした。
言い終わるより早く、私の持っていたダンボールをすっと横から取り、先に歩き出す。
加藤くんだった。
私がよろよろと持っていたダンボールを、長い腕で軽々運ぶ。
私は手ぶらで、加藤くんの後ろを歩く。
加藤くんがプッと吹き出した。
「前見えてなかっただろ?」
少し振り返って、肩越しに私をチラッと見下ろして、
「ダンボールとどっちが大きいか分かんないぐらいだな。」
と笑った。
「無理せず言えよ。俺が手伝ってやるから」
「ありがとう」
じわじわ、嬉しい気持ちが心にひろがる。
体温が急に上がったみたいに熱くなる。
私は彼の後ろから話しかけた。さっきの授業のことや先生の話、明日の予定、ひたすら話をする。
彼は黙って聞いていて、たまにふっと笑う。
加藤くんの背の高い後ろ姿、持ってくれた荷物、少しキツい口調で無愛想な表情なのに、いつも誰よりも早く気づいて優しく助けてくれる。
いつ頃からだろうか。こんな風に加藤くんが私を気遣ってくれるようになったのは。
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