加藤君に話がある高城さん
11
お風呂に入る時。
鏡の中の私。
今日は、真名と修学旅行の買い物に行った。
水着か⋯⋯ 。
鏡に映る私の、右半身。
くるぶしだけじゃないんだ、交通事故の傷跡は。自分で何年も見ているけど、気持ちのいいもんじゃない。ちょうど洋服を普通に着ていたらギリギリ見えない、肩と、腕と、お腹と、ももの付け根、そしてくるぶし。
満遍なくついた傷は、水着なんて一生着れないと言っている。
誰にも見せられない。
加藤くんが水着を見たいと言った。
あの時から、私は漠然とはじめての疑問に行き当たっていた。
もし、もし好きな人に付き合おうって言われたら⋯⋯ 。
いや、そうなる前に、事前に⋯⋯ ちゃんと傷跡の事を言わないといけないのかな。
普通の子みたいな顔をして、実は傷だらけって、なんだか詐欺みたいな騙しているような気持ちがする。
でも、そんな事にもならないうちから、張り切って、私こんなんなんです!ってわざわざ言うもんなの?
それでも、好きな人ができて彼氏が出来る時、いったいいつのタイミングで言えばいいんだろう。
難アリ、欠陥商品みたいに先に言う?
付き合う時に実は私⋯⋯ って言う?
もっと黙ってて、いよいよそんな時になってから言う?
小さい時の怪我。
ずっと体に残っていた。
誰にも見せてないし、言っていない。
でも私は人生で、今、初めて具体的に加藤くんを思い浮かべて、考えてしまって、わからなかった。
彼に誠実にいたいと思う。
こんな傷だらけを知らせずに、騙すみたいにしたくない。
でも、本当は知られたくない。
気持ち悪いって思われる⋯⋯ 。
どうせなら、綺麗な肌の子と付き合いたいと思うだろう。
自分の事だから私は一生仕方ないけど、こんな傷跡を相手の人まで我慢しないといけないんだ。
我慢してまで、私を選んでくれる、そんな好きって気持ち、どう知らせて相手の気持ちもどう知ればいいのか。
しかも、加藤くんがぜんぜんそこまでのつもりがなかったら、急に重い話をいきなりされて迷惑でしかないだろうし、彼と付き合えないのに秘密だけ知らせてどうなんだって、あっ、なんか泣きそう⋯⋯ 。
答えが出ないまま。
明日から加藤くんと一緒に沖縄に行く⋯⋯ 。
お風呂に入る時。
鏡の中の私。
今日は、真名と修学旅行の買い物に行った。
水着か⋯⋯ 。
鏡に映る私の、右半身。
くるぶしだけじゃないんだ、交通事故の傷跡は。自分で何年も見ているけど、気持ちのいいもんじゃない。ちょうど洋服を普通に着ていたらギリギリ見えない、肩と、腕と、お腹と、ももの付け根、そしてくるぶし。
満遍なくついた傷は、水着なんて一生着れないと言っている。
誰にも見せられない。
加藤くんが水着を見たいと言った。
あの時から、私は漠然とはじめての疑問に行き当たっていた。
もし、もし好きな人に付き合おうって言われたら⋯⋯ 。
いや、そうなる前に、事前に⋯⋯ ちゃんと傷跡の事を言わないといけないのかな。
普通の子みたいな顔をして、実は傷だらけって、なんだか詐欺みたいな騙しているような気持ちがする。
でも、そんな事にもならないうちから、張り切って、私こんなんなんです!ってわざわざ言うもんなの?
それでも、好きな人ができて彼氏が出来る時、いったいいつのタイミングで言えばいいんだろう。
難アリ、欠陥商品みたいに先に言う?
付き合う時に実は私⋯⋯ って言う?
もっと黙ってて、いよいよそんな時になってから言う?
小さい時の怪我。
ずっと体に残っていた。
誰にも見せてないし、言っていない。
でも私は人生で、今、初めて具体的に加藤くんを思い浮かべて、考えてしまって、わからなかった。
彼に誠実にいたいと思う。
こんな傷だらけを知らせずに、騙すみたいにしたくない。
でも、本当は知られたくない。
気持ち悪いって思われる⋯⋯ 。
どうせなら、綺麗な肌の子と付き合いたいと思うだろう。
自分の事だから私は一生仕方ないけど、こんな傷跡を相手の人まで我慢しないといけないんだ。
我慢してまで、私を選んでくれる、そんな好きって気持ち、どう知らせて相手の気持ちもどう知ればいいのか。
しかも、加藤くんがぜんぜんそこまでのつもりがなかったら、急に重い話をいきなりされて迷惑でしかないだろうし、彼と付き合えないのに秘密だけ知らせてどうなんだって、あっ、なんか泣きそう⋯⋯ 。
答えが出ないまま。
明日から加藤くんと一緒に沖縄に行く⋯⋯ 。