ボーダーライン。Neo【中】
「秋月のせいでこうやって桜庭先生だけが槍玉に挙げられるなんて、どうかしてますよ」
あたしの事で怒ってくれるのは有り難いけれど、田崎先生は噂の相手が檜だからこそ、不満を感じているようだった。
ブツブツと文句を言いながら、田崎先生は隣りのデスクについた。
「いいですか? 桜庭先生」
「あ、はい」
「僕ら教師は生徒を平等に扱うのが普通ですけど、秋月 檜だけは例外です。
あいつはただ目立ちたいだけの問題児なんですよ? もう担任を離れたんだからあんまり深く関わらない方がいい」
あたしは暫時無言になった後、躊躇いがちに「ええ」と頷いた。
「それはあんまりじゃ無いですか、田崎先生」
口を出した斉藤先生を、田崎先生はチラリと一瞥する。
「秋ヒ……、秋月 檜くんだって自ら目立ちたくて噂の渦中にいる訳じゃ無いんです。
何もしていなくても周りの注目を浴びる、そういう子なんです」
「そうですか? 今回学校祭でライブをする事も、桜庭先生に近付く行為も、水城奈々との親密な交際も、誰よりも目立った行動を自らが好んで取っている、僕はそう思いますけどねぇ?」