ボーダーライン。Neo【中】
「‘Star Blacks’は人気があるから、Kポップや他のアイドルユニットからも沢山希望が出ていてな? 正直厳しかったんだけど」
「ああ。俺らもさすがに無理かなって思ってた」
陸は座ったままで、安堵の息をつく。
「でもそこはさすがと言うべきか、社長の鶴の一声。あれよあれよと言う間にまとまった」
「さっすが、誉氏!! 顔が利くよな~」
うんうん、と腕組みし、僕たちは納得の笑みを浮かべる。
「て言うか、社長がそこで推してくれるとは思わへんかった」
「あ、俺も俺も。てか、俺らがファンだって事すら知ってんのかどうかも謎だったし」
「言えてる」
ーーそう言われればそうだ。
陸と陽介が会話する中、僕はまさかと思って竹ちゃんに目配せした。
彼は無言で頷き、意味深に笑う。
ーーやっぱりそうか。
バンドの士気を高めるため、さらには僕が以前こぼしていた前途の迷いを幾らか軽くするため、竹ちゃんが社長に嘆願してくれたのだ。
ーーエドと同じ舞台に立てる!!
僕は目を見張り、じわじわと迫り来る興奮に口元を緩めた。
夢のまた夢だと思っていたシチュエーション。
長年憧れてきたバンドのボーカル、エドワード・ギルド氏に会えると思うと、ドッと沸き上がる喜びに自然と体が震え出した。