ボーダーライン。Neo【中】
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◇ 日記7
1
時計の針が零時を回り、八月二十日を迎えた。
「はい。お誕生日おめでとう?」
ベッドの上で寛ぐ檜に、前々から用意していたプレゼントを差し出すと、彼はあたしの手元を見て目を丸くした。
「え! マジで?」
綺麗にラッピングされた箱を手に、彼はゆるゆると顔を崩す。
「ね、開けて見て?」
「うん」
包みを取り、箱を開け、檜は「わ……」と小さく呟いた。
「時計?」
「うん。檜の事だから、どうせいつも携帯頼りでしょう?」
言いながら、再び彼の隣りに座る。檜は、うん、と言って箱から出した腕時計を右手首に着けた。
「色使いもね。普段の服装に合わせて黒と紫にしたの」
「……すげぇ、超カッコイいじゃん! つか、俺。時計は持ってなかった」
「ふふっ。だと思った」
「ありがとうっ、すげぇ嬉しい!」
キラキラと輝く瞳を見て、やっぱり時計にして良かったな、と思う。
「良かったら今週のライブに着けて行ってね?」
今日から四日後、二日間に渡って、檜は初のワンマンライブに臨む。
「うん。……あ、幸子も来るんだよな?」
「うん。美波と一緒に」
檜はキョトンと目を瞬いた。
「え? 美波さん、来れる様になったんだ?」