ボーダーライン。Neo【中】
「はい。僕の答えはイエスでお願いします」
『……そうか。カイからは既にノーだと聞いているが。それは了承済みか?』
「はい。だから僕一人ででも、gravyとして活躍して、海外との繋がりを作ります。一年の約束を終えたら、またFAVORITEとして再始動します」
返答を聞き、社長が微かに笑う気配が伝わった。
『なるほど。意思は固いようだな。海外へ発つとしたら今年の夏頃だから、急を要する事になるが……大丈夫か?』
「はい。早い方が助かります」
『そうか。なら、先方にはそのように伝えておこう』
じゃあな、と言い残し、社長は通話を切り上げた。
何の変哲も無い画面を見つめ、一度ソファーから立ち上がると、冷蔵庫からペットボトルの水を取り出し、喉に流し込んだ。
詳細はまた社長から知らされるだろうが、来月には活動休止を発表して、海外へ発つだろう。
これで本当に、彼女とは別々の人生だ。
きっともう二度と会う事も無い。今と違う環境に染まっていって、運が良ければまた違う女に恋をする。
そうなれればどんなに良いだろう。