ボーダーライン。Neo【中】
何を思っているのか表情から読み取れる。え、何でこんなに若いの、と。母は狼狽の瞳で首を傾げていた。
彼氏がまだ高校生で、しかも教え子だと言ったら、母は間違いなく怒るだろう。
今の表情を見て、先行きが不安になる。
畳の上に座卓を置いた客間へ通された。
母が父を呼びに行く間際、五つ下の弟の話を振られる。
緊張した檜を和ませるため、母なりに気を遣っているのだと感じた。
程なくして、母に続いて父がお茶を持って現れる。隣りの彼をちらりと見ると、思った通り目を点にしていた。
うちはかかあ天下なので、父は普段から母の言いなりだ。
顔は怖いが穏やかな父親に、明け透けで元気溌剌とした母親。
買い物をする時も何かの契約をする時も、大概、母が主導権を握っている。
だからと言って、母が父を馬鹿にしている訳もなく、夫を立てる場面ではちゃんと妻の役割を果たしていて、子供ながらに凄い母親だと思った事もあった。
あたしの前にお母さんが座り、檜の前にお父さんが座った。
「一応確認しておくけど。電話で言ってた“彼”なのよね?」
「……ええ」
ーーやっぱり若さを気にしているんだ。