ボーダーライン。Neo【中】
「何で分かってくれないの?? 困難な状況全部踏まえて、それでも檜が良いって言ってるの!」
「……」
「お母さんはお見合い結婚だから、あたしの気持ちなんて分からないのよ!!」
感情が高ぶり、遂には涙が滲み出る。
「もう帰りなさい」
顔を背けた母に素っ気なく言われ、あたしは勢いよく立ち上がる。
「言われなくてもそうするよっ!! 行こっ、檜っ」
彼の手を引き、追い返される形で実家を後にした。
少しぐらいは、考えて貰えるものだと思っていた。
ーーなのにあんなに頭ごなしに否定するなんて……お母さんに少しでも期待したあたしが馬鹿だった。
この時のあたしの考えも、まだ甘く、どこまでも若かった。
結婚は当人同士の問題だけでなく、両家を結び付けるものだから、親にとっても本人にとっても重大な節目になる。
母は、臆病で寂しがり屋なあたしの性格を考えて、あたしが将来安心して過ごせる家庭を持てるように、と。親の愛情であたしを想ってくれていた。
あたし自身がもう少し、母の気持ちを理解していたら。
こんな結果にはならなかったかもしれない。
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