ボーダーライン。Neo【中】
部屋の電気を消し、特殊なライトを当てたり、所々で粉をはたいて指紋を取ったりしている。
その様を見つめて慎ちゃんは嘆息し、僅かに眉を寄せた。
部屋の住人であるあたし達も事情聴取に応じて、何枚もの書類にサインをさせられた。
犯人と区別するためには仕方のない事だが、親指から小指、手のひらまでもの指紋を取られたのは最悪だった。
時間を掛けて散在を調べて貰ったのだが、幸か不幸か、部屋からは何も盗られていない、そういう結果に落ち着いた。
勿論警察の人は納得しかねていた。
「本当に空き巣ですかねぇ?」
「え?」
「見たところ、泥棒さんの靴跡も無いし。奥さんか旦那さん、どちらかがこれやったんじゃないの?」
ーーは?
「ち、違いますっ!」
妙な疑いをかけられても困る。あたしは即座に否定した。
「まぁまぁ、サチ。落ち着けって」
あたしと違い、慎ちゃんはどこまでも冷静だった。
彼らが撤収する時も、数人の警察官に、ご苦労様です、と頭を下げて挨拶していた。
ーーやっぱり、あたしと違って大人だなぁ。
しっかり外で働いて社会人をしているだけあって、礼儀が行き届いている。