ボーダーライン。Neo【中】
「散々だったな…」
言いながら慎ちゃんは頭を抱え、その場に座り込んだ。
「ホントに。被害者はこっちなのに、何であたし達が疑われなくちゃいけないのよ」
あたしはぶつぶつと不満をこぼし、キッチンに向かう。
とりあえず気持ちを落ち着けたいと思っていた。
二つのマグカップを出し、カフェインレスのコーヒーを淹れる。
部屋は変わらず滅茶苦茶だけど、もう九時を回っているため、片付けようとすら思わない。
ーー後で寝室だけちゃんとして……あ、でもその前に晩御飯はどうしよう?
何処かでお弁当とか……でももう遅いし、コンビニでも良いかな?
そんな事を考えながら、二人分のカップにコーヒーを注ぐ。
「明日はお休みだから。部屋は明日、あたしがちゃんと片付けるね?」
聞いているのかいないのか、慎ちゃんから返事はない。
仕方なく湯気の上がるマグカップを運び、「はい」と言って彼に差し出した。
「いらない」
慎ちゃんのぶっきらぼうな言い方に、ムッと眉を寄せる。
ーー何なのよ。急に不機嫌になっちゃって。
慎ちゃんのコーヒーはひとまずテーブルの上に置き、あたしは自分のマグカップに口を付けた。