ボーダーライン。Neo【中】
「明日はどこか出掛けるのか?」
ーーえ?
訳の分からない問い掛けに、若干顔をしかめる。
「部屋を片付けるだけで一日が終わるわよ。どこかへ行く余裕なんて無い」
「こんなの、適当にやりゃあ半日で終わるだろ?」
あたしはまたムッとなり、ため息を吐き出した。
「あたしに当たらないでよ?」
「は?」
「警察の対応に腹が立ったのは分かるけど。今日はもう忘れて寝ましょ?」
これ以上、晩御飯の事でコンビニで済ませると言ったら、何を言われるか分からない。
冷蔵庫の中に有るもので適当に食べて寝るのがベストだ。
あたしはコーヒーを飲み干し、シンクへと向かった。冷蔵庫に手を掛ける間際、慎ちゃんがぼそりと言った。
「本当に何も盗られて無いのか?」
「え?」
「これだけ荒らされたんだ。何か一つぐらい、無くなってる物が有るはずだ」
意志の強い瞳を向けられ、じわりと嫌な汗が浮かぶ。
「そんな……、警察と同じような事言わないでよ? 何も盗られてないんだから、それはそれで良いじゃない?」
若干、慎ちゃんが怖くて、あたしは目を逸らした。
「……ハハ。あくまでそう言い切るつもりか?」
「え?」
ーーどういう意味?