ボーダーライン。Neo【中】

 このところ、頻繁に日記を読み返していたし、もしかしたら、寝言で檜の名前を呼んだのかもしれない。

 いや。それよりも、前に慎ちゃんとのエッチを拒んだから、あたしの私物を見て調べられたのかもしれない。


 ーー「俺と結婚するつもりでいながらッ! 何で別の男と出来るんだよッ!!」


 ーー「教師をしていながら、その生徒と付き合うって!? お前相当の男好きだよなぁッ!!?」


 その口ぶりから、彼は檜との過去も、去年のクリスマスの事も全部知っていると分かった。

 檜の部屋で書いたあのメモ紙は、一体どんな経路を経て慎ちゃんの元に辿り着いたのだろう?

 第一、檜はあのメモ紙を捨てたと言ってた。なのに何で……??

 あたしは考えても仕方のない事を思い、洟をすすった。

 ーー檜……っ。

 やっぱり無理だった。

 無理だったんだ、と胸中で呟き、涙が流れ落ちる。

 ーーあなたを忘れる事なんて、出来なかった。

 檜への愛情が次第に大きくなるのを、無理やり押し込める事なんて出来なかった。

 慎ちゃんと結婚して、檜をただの元カレと割り切れれば良かったのに、そう出来なかった。

 あたしは今でも、檜を愛してる。
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