ボーダーライン。Neo【中】

 会って話しがしたいと唐突に言われ、そうですかと軽く応じられる相手でもない。

 上河さん独特の強い瞳とその観察力を思い出すと、自然とため息が漏れた。

 バンドに関してと言われたが、恐らくは檜との交際に関して責めるつもりなのだろう。

 学校祭の時、わざわざ圭介に彼氏の振りをして貰ったのに、いい加減しつこいなと思い仏頂面を作る。

 あの子に会うのは最早ストレスとしか言えないが、この機会だからキッパリと否定するのも良いかと思えた。




「……急にお呼び立てして、すみません」

 礼儀を尽くしてお辞儀をする彼女に、あたしは若干たじろいだ。彼女に合わせて頭を下げ、向かいの席に座る。

 待ち合わせとして指定されたカフェは、以前檜がバイトをしていた工場現場付近で、駅から近い為車を出さずにやって来た。

 注文を取る店員さんに紅茶を頼み、「話と言うのは?」と単刀直入に切り出した。

「先生は今。生徒であり、FAVORITEのボーカルでもある、秋月檜くんと付き合ってますよね?」

 断定した言い方だが、予想通りの台詞に、狼狽える事なく顔を緩めた。
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