ボーダーライン。Neo【中】
両手で水を掬うように、深い眠りから揺り起こされ瞼を開けた。
部屋を満たした明るい日差しが目の奥を刺激して、僅かに痛む。
カラカラな喉を潤す為、一度ベッドから這い出し、冷えたペットボトルを口にした。
ひと口ふた口飲み干して、再びベッドへ戻る。
寝る前、充電器に挿しっぱなしにした携帯を取り上げたのは、最早日常と化した癖で。
電話帳のアイコンに、二十をも超える不在着信の赤を見て、僕は思わず目を見張った。
「……は?」
瞬間、ヒヤッとし、スマホのデジタル時計を再三確認する。
午前十時十五分……。
この時計が三時間以上遅れていない限り、遅刻にはならないが。
ーーこの着信履歴はなんだ?
発信元はマネージャーの竹ちゃんを始め、陸、陽介、カイ、とメンバーの名前がランダムに並んでいた。
ーー何かトラブルでも有ったのか?
僕は不安から眉をひそめ、中でも断トツに名を連ねる竹ちゃんへすぐさま電話を掛けた。
『……も、もしもし? 檜か? 今どこにいる??』
飛び付くように電話を繋いだ彼に、一瞬言い淀む。