ボーダーライン。Neo【中】
「……へ、部屋だけど。今、起きたとこだし」
『自宅か?』
「あー、うん」
いまいち状況が把握出来ない。
フローリングに突っ立ったままで、僕は一人首を傾げた。
ああ、良かった、と竹ちゃんは大袈裟に息を吐いた。
『いいか檜。僕がそこへ迎えに行くまで、部屋からは一歩も出るなよ?』
「は?」
やはり状況が読み取れない。
「て言うか。一体なに??」
竹ちゃんは少しの間無言になり、テレビを点けてみろ、と冷静に告げた。
仕方無くリモコンに手を伸ばし、指定されたチャンネルをかける。
番組では、スポーツ新聞の一面を使って、日々報道されている芸能ニュースが取り沙汰されていた。
「え、」
コメンテーターの言葉に一瞬耳を疑い、食い入る様に画面を注視する。
「えー、人気アーティスト、FAVORITEのボーカルを務めるHinokiさんと、女優の笹峰優羽さん! この二人は化粧品のCMにも出ていたんですよねぇ。
いや~、それにしても驚きです」
男性コメンテーターの説明を交え、フリップボードにある新聞には【熱愛発覚!! 優羽ちゃん深夜のあつあつデート】という見出しが大々的に踊っていた。
【お相手はあのCMでもお馴染み、FAVORITEのHinokiさん】という文字に続き、僕と彼女の抱き合う写真が併せて掲載されている。