ボーダーライン。Neo【中】
『社長のお達しで、仕事に関してはひとまず謹慎体制を取るから。今日の取材もキャンセルだ』
「分かった」
『暫くはホテルでの軟禁生活になるけど、良いよな?』
「ああ」
竹ちゃんは、それから、と矢継ぎ早に言葉をついだ。
『事務所側の対応として、マスコミには否定の文書を送っておくけど。
……って言うか。そもそも笹峰優羽さんとは別に何も無いんだよな!?』
「無いよ」
僕は弱々しく答え、片手で頭を抱えた。
あの写真が撮られた経緯を、いずれは話さなければいけないけれど、きっぱりと否定で返した。
『そうか』
笹峰さんとの熱愛を本気で疑っていた訳では無いだろうが、竹ちゃんの声には安堵が滲み出ていた。
『とりあえず詳しい事情説明は後回しにするとして、マスコミの取材はこっちで封じていくつもりだから』
「分かった」
『もし檜に直接接触する事があっても、何も喋るなよ?』
「ああ」
『じゃあ後でそっちに車回すから、荷造りだけしておいてくれ』
了解、と返事をすると、プツンと回線が途切れた。
脱力感が一気に全身を襲った。