ボーダーライン。Neo【中】
「透さんの場合は単に面白がって、俺をからかいに来ただけでしょ?」
「まぁ、それもある」
あっさりと認め、彼はコーヒーをまた口にする。そして不味いなぁ、と笑った。
「しっかし、檜。お前も災難だねぇ~?」
「はい?」
「これ、優羽ちゃんに張り付いてた記者みたいじゃん?」
「え。そうなんですか?」
思わず目を丸くする。
透さんは閉じた週刊誌を再び手にし、眉を下げて笑った。
「ここにそれらしい事が書いてある。
えーと、“……以前笹峰はこう漏らしていた。憧れの人はいます、と。記者の質問に対して、業界人らしき事を語ると、彼女は恥ずかしそうに頬を染めていた”……ってな。つまりは檜の事だ」
そう言って指を差されると、つい当惑し、目を泳がせた。
「まぁ、とりあえず聞かせろ。なんであんな写真が撮られた?」
「その説明、もう事務所で何度もしたんですけど?」
「俺は聞いてない」
しれっと言ってのける彼は、机上に灰皿を確認すると、煙草をくわえ、火を点けた。